柴田作品は宝塚の財産 柴田侑宏先生を偲んで
7月14日は、オスカルの命日でフランス革命勃発した日(バスチーユ襲撃)です。
その記念の日の5日後、7月19日に柴田侑宏先生がご逝去されました。

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柴田侑宏先生は、宝塚の一番の功労者

潰れかかっていた宝塚は、1974年8月29日初演の「ベルサイユのばら」で息を吹き返して、爆発ヒットになり、現在にまで至っていると言われます。
その宝塚のブームを支え続けた功労者は、『作・演出 植田紳爾』というよりも『作・演出 柴田侑宏』だと私は思っています。(入団は植田氏が1年先輩)

1年に名作オリジナルを3作上演

「宝塚大ブーム」の1976年は、オリジナル新作『あかねさす紫の花』(花組)『星影の人』(雪組)『バレンシアの熱い花』(月組)が上演されました。
1年のうちにこの3作品、組の構成に合わせたオリジナルなあてがきで、ドラマの構築が巧みで、話の破綻・矛盾も滅多にない柴田作品。(3作品とも現在も再演されている名作です。)
「古代もの」「日本もの」「洋物」、どれも格調があり、史実にものっとっていて、「台詞も美しく」、文学性がありました。
この素晴らしい3作品を1年間で上演されるとは、天才としか言えません。
そしてとても巧みにその組のスター構成と個性に沿った「あてがき」でした。

柴田先生は1980年代ごろから眼病に悩まされ、視力低下のため1993年以降は口述筆記にて脚本を執筆されていたそうです。
1998年の宝塚大劇場公演『黒い瞳』以降は脚本のみ執筆され、2005年の『霧のミラノ』以降新作は出されていませんでしたが、2015年柚希礼音サヨナラ公演『黒豹の如く』が10年ぶりのオリジナル作品でした。

柴田作品が地方で上演され続けている

1974年8月29日初演の「ベルサイユのばら」が上演される直前、宝塚大劇場で上演された作品が星組の「アルジェの男」でした。
5月に礼真琴君主演で全国ツアーで上演されました。
45年前の作品は、時代の変化の中で価値観が変化していますが、今回の星組公演はあえて45年前の脚本に戻して演じられましたが、私は全く古さを感じませんでした。

最近の宝塚の「オリジナル」作品というと、破綻・矛盾が当たり前で、観客があえてそのことに目をつぶらなければなりません。
ただ客席で、自然に話に惹きこまれて、深く感動できると柴田オリジナル作品。
大人の恋が粋なセリフとともに描かれていて、1時間30分の芝居があっという間に感じたものでした。
脇役にまでセリフがあって、役も多いのも柴田作品の特徴で、出演者の多い宝塚に適しています。
最初は役者の顔を思いながらあてがきでつくられているので、オリジナルの初演時が一番相応しい作品とも言えました。

柴田作品を越える「オリジナル作品」を生み出せる「作・演出家」がなかなかいらっしゃらないことが、現在の宝塚の課題でしょう。
柴田作品が高く評価され、全国ツアー、博多座、中日劇場などでは、柴田作品が選ばれて上演され続けています。

2015年『星影の人』博多座で

汀夏子さん主演の『星影の人』が大好きだったので、2015年5月に博多座で雪組の早霧せいなさん主演で上演された時は、作品の魅力につられて博多まで観劇に行きました。
初日だったので、幕間に柴田先生を拝見しました。
サングラスをかけていらっしゃいましたが、昭和の頃からのダンディな雰囲気はそのまま、お元気そうでした。
スカステの「Now ON Stage」で早霧さんが柴田先生のお話をされていたので、「演出」は担当されないものの、お稽古場にお顔を出され、初日も足を運んでいらっしゃるのだなと思いました。いろいろとアドバイスをされていたのでしょう。

高汐巴と柴田作品

私が大ファンだった高汐巴さんはトップスター在任中、本公演は全て「オリジナル作品」を上演しました。
そのうち3作が柴田作品で、『琥珀色の雨にぬれて』『真紅なる海に祈りを -アントニーとクレオパトラ-』『あの日薔薇一輪』。
『あの日薔薇一輪』は退団公演でした。

生徒にも愛された柴田作品

その頃のトップスターさんは、柴田作品で退団したいと希望する方も多く、
剣幸さんは、『川霧の橋』で、
平みち・神奈美帆コンビは、『たまゆらの記』で、
杜けあきらさんは、『忠臣蔵』で退団されています。

その後も、トップスターさんが柴田作品の再演を望むことも多いようです。
紫苑ゆうさんは『うたかたの恋』の再演を強く希望され実現したのに、直前にケガをされて休演となり東京公演のみ出演されたのは、有名な話です。

永久輝せあ君「柴田作品」出演の夢

以前のスカステニュースの「DREAM」で、音楽学校の頃から柴田先生の作品に出るのが夢だったと語っていました。
音楽学校の職員室にいる柴田先生に、そのことを言いに行ったほどだったそうです。

音楽学校のお芝居の練習で「アルジェの男」を練習することが恒例のようで、昔の作品ながら生徒はみんな「アルジェの男」の作品内容に詳しいようです。
今年の星組全国ツアー「アルジェの男」の再演の時に皆が語っていました。
脚本の心理描写が巧みなのでその表現の練習になるのだと思います。

ひとこちゃんは、博多座「星影の人」の時は「アルカポネ」組であったため出演できませんでしたが、その次の全国ツアーでは「哀しみのコルドバ」でフェリーペ役を演じていました。

ファンからも、生徒からも愛され続けている「柴田作品」
時代の流れの中で、世の中の価値観は変化していますが、甘美な美しいセリフで彩られた「大人の恋物語」には変化はないでしょう。
柴田先生は、美しい言葉を紡ぎ出す詩人でもありました。

先生の素晴らしい作品は、宝塚で「財産」としてずっと生き続けていくことと思います。

柴田先生のご冥福を心からお祈りいたします。

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