パパアイラプユー観劇記

開幕してから大好評の専科公演「パパ・アイ・ラブ・ユー」を観劇してきました。 評判通り「抱腹絶倒で楽しすぎ!」コメディ大好きの私は、「宝塚で、しかも轟理事でこんな作品が観れるの?!」とカルチャーショックもありました。

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はじまりから楽しいクリスマスの舞台

今日が千秋楽なので、ネタバレも大丈夫ですね。

まず、はじまりから楽しい雰囲気なのです。軽快な轟さんの鼻歌のようなクリスマスソングが流れ、舞台の上ではクリスマスツリーとリースがピカピカ光っています。

挨拶のアナウンスも、轟さんのかる~いノリの口調が、いつもと違うぞとコメディの世界にいざなってくれます。

特に2幕の開演アナウンスは、さらにノリノリで、1幕の楽しさから、さらにワクワクさせてくれて、楽しませることにすべてが徹底している演出でした。

轟悠さんと悠真倫さん+宙組10人の舞台

専科の轟悠さんと悠真倫さんプラス宙組選抜メンバー10人と合わせた12人での、お笑いいっぱいのストレートプレーの舞台でした。 最後にお芝居の延長線上の楽しいクリスマスソングのフィナーレもついていました。

この作品のポスターは、12人全員が役になりきった扮装とポーズで写っています。ポスターそのままの11人がポスターの中から抜け出してきたお芝居でしたが、違うのは涼しい笑顔で写っている轟さんだけです。このお芝居の間轟さんは徹底的に3枚目で、2枚目の表情をしている時はありません

妻帯者でエリート医師のデーヴィッド(轟)が、18年前の愛人ナースとの間に誕生した隠し子レズリー(留依蒔世)が訪ねてきたことから、自分の立場を守るためにウソにウソを重ねていきます。

そして病院内を大混乱に巻き込み、デーヴィッド自身がドンドン窮地に立たされていき、それがたまらなくおかしく、それぞれの出演者の個性あふれる設定も面白くて、何が何だかわからないドタバタが続いていきます。

最後に友情、家族の愛という落としどころもあって、ドタバタだけでは終わらない、上質のコメディです。

デーヴィッドの同僚医師のヒューバート(悠真倫)の人の良さがあふれる穏やかな演技と面白さが絶品で、さすが専科、これからも宝塚のバイプレーヤーとして貴重な方です。

轟さんと悠真さんがナース姿になって、「ばってん」とかお国訛りの言葉で、女性に化けるところがあります。「ここまでするの」と驚くほどのお笑い路線を突き進まれるので、本当にもう笑うしかないです。

轟さんは「私が困っているところを笑っていただくコメディ」だと仰っていましたが、まさにそうで、あの「轟悠が…」という前提があるからこそ、笑いの坩堝にはまっていきます。

そして石田昌也氏脚本なので「すみレコード」に挑戦するかというような、言葉やおふざけも飛び出してきます。しかし真ん中に轟さんがいるから、下品ではない!品格ある人がお笑いをすると、まるで「吉本新喜劇」のようなものも、上品に仕上がってしまうから不思議なものです。

チャレンジャー石田昌也氏は、これからも「すみれコード」に挑戦しながら、宝塚の下品にならないお笑いを探っていかれるのではないでしょうか。

特筆すべきは、トサカ頭のパンク野郎・隠し子レズリー(留依蒔世)で、17歳の父親を恋い慕う一途な青年をハッチャけて演じていました。そしてフィナーレでの歌も流石で、「実力派留依蒔世ここにあり」と印象づけてくれました。

婦長役の星月梨旺君は、肉布団をまいて中年婦長に徹していて、存在そのものがたまらなく面白くて、目が離せませんでした。今度宙組の舞台を観たら、さがしてしまいそうです。

ポスター撮りの時はまだ台本が出来上がっていなかったため、役をイメージするための仮台本を作って、各々そのイメージを膨らませながら全員全身写りのポスター作成に臨んだそうです。10人の選抜メンバーは、普段はポスター撮影には縁のないジェンヌさんたちですが、轟さんや悠真さんの下で、ポスター撮影ができたことは、とても貴重な経験となったことでしょう。

宙組の10人全員がそれそれにキャラをたてて、いきいきと演じていました。きっと轟さんの指導や支えがあったからだと思います。轟さんは今年で男役35年だそうですが、その積み重ねてきたものを、後輩に惜しみなく伝えながら育てていらっしゃることを感じました。出演している宙組生の名前を覚えることができたので、宙組に戻っての成長した舞台が楽しみです。

昨年の雪組の「凱旋門」で、轟さんは同じ医師役をされていましたが、その時は声の調子も悪く、とても汗をかかれていて、「体調は大丈夫なのかな」と心配したものです。しかし今回の舞台では、同じ医師ですが、声がかれることも無く、いきいきと演じられていて安心しました。

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フィナーレのクリスマスが何とも楽しい!

宝塚は、やはり「歌」と「踊り」と「お芝居」があってなので、ストレートプレーだけで終わらず、フィナーレがついていて、楽しさが倍増しました。

フィナーレは、作品の続きとして、患者さんを前に病院スタッフが余興でクリスマスをお祝いしているという設定でした。

全てクリスマスソングで、軽快に楽しく歌い踊ってくれるので、本当に楽しかったです。

お話の中で「お尻に大量の麻酔注射を打つ」という流れがあったので、ナースたちのお尻に注射ダンスはなかなか宝塚で観れるものではなく、「ダンスでそんな踊りまでする?」という驚きもあって面白かったです。

専科コメディーシリーズ

この作品は「おかしな二人」(2011、12年)「第二章」(13、14年)に続く専科コメディーシリーズの第3弾だそうです。今までバウの専科公演を観ることはありませんでしたが、こんな楽しいものをやっていることが新しい発見だったので、次に第4弾が上演されるなら、ぜひ観てみたいなと思っています。

カメラが入っていたという情報があるので、スカイステージで「パパ・アイ・ラブ・ユー」が放映されるといいですね。

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